事業資金を貸金業者から借入れる時の注意点|今申し込める公的支援は?

事業資金を貸金業者から借入れる時の注意点|今申し込める公的支援は?

事業資金を準備する際に便利なのが貸金業者からの借入れです。しかし、中には法外な金利を請求してくる違法業者もあるため、どのような業者から借入れるべきか分からない人も多いことでしょう。 適切な業者から借入れるためには、政府が定めた貸金業法を理解した上で、悪質な業者の見分け方を把握しておくことが重要です。 この記事では貸金業法の概要や悪質な業者の見分け方、事業資金を貸金業者から借入れる際の注意点について解説します。

目次

貸金業法ってどんな法律?

貸金業法とは、消費者や企業に対して貸し付けを行う貸金業者が、過度な貸し付けを行うことを防止するために定められた法律です。元々は1983年5月に施行された「貸金業の規制等に関する法律」というものでした。2006年12月抜本的に改正され、2007年12月より「貸金業法」という名称に変わりました。 現在の貸金業法に改正された背景には、当時問題になっていた多重債務者の増加があります。貸金業法に改正される以前は、個人の借入金額に制限がなく、複数の金融機関を利用すれば多額の融資を受けることが可能でした。 貸金業法では信用情報機関で消費者の信用情報を管理し、消費者個人が借入れできる総額を制限しています。さらに、生活に負担のない現実的な返済計画を立てられるよう、上限金利を最大20%に引き下げたのです

総量規制って何?

総量規制とは、消費者の多重債務を防ぐために、貸金業法によって定められた借入総額に関する規制です。貸金業法では、借入総額は年収の3分の1までと定められています。基本的に総量規制を超える借入れがある場合、貸金業者から融資を受けることはできません ただし、総量規制はあくまで貸金業者にのみ適用されるため、対象となるのは消費者金融などに限られます。銀行や信用金庫など、貸金業者に該当しない金融機関からの借入は総量規制の対象外です。 貸金業者に当たる消費者金融でも、総量規制の例外となるローン商品を利用すれば、制限以上に借入れることが可能です。以下で詳しく見ていきましょう。

総量規制とは?

前述の通り、総量規制とは消費者が借入れすぎないよう定められた規制です。基本的に、総量規制は新規の借入れを申し込んだ際に適用されます。借入れ後に年収の低下などによって借入総額が年収の3分の1を超えたとしても、一括での返済要求や罰則はありません。 注意が必要なのは、総量規制は各金融機関からの借入額ではなく、複数の金融機関からの借入総額に適用されることです。例として、年収300万円の人が2つの金融機関から40万円ずつ借入れているとしましょう。 年収が300万円の場合、総量規制によって借入総額は100万円に制限されます。そのため、新規に別の金融機関から借入れる場合は、100万円から80万円を差し引いた20万円しか借入れできません。

総量規制を超えてしまったら?抜け道はあるのか?

貸金業者からの借入れが総量規制を超えてしまった場合、基本的には貸金業者から新規に借入れることはできません。 銀行や信用金庫、労働金庫などは総量規制の対象外ですが、銀行は2017年から個人への貸し過ぎを防ぐために自主規制を行っています。そのため、融資に際しての審査が厳格化しているので総量規制を超える債務を抱えた状態で融資を受けることは困難です。 総量規制を超える債務を抱えた状態でさらに借入れる方法としては、以下のような方法があります。

  • 例外貸付
  • 除外貸付

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①例外貸付

例外貸付とは、貸金業者が利益を目的とせずに提供している金融商品ことです。具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • 消費者金融のおまとめローン
  • 個人事業主への貸付
  • 緊急の医療費を支払うための借入れ
  • 銀行からの融資を受けるまでに必要なつなぎ資金
  • 配偶者と併せて年収3分の1以下の貸付

上記の中でも特に、おまとめローンは複数の貸金業者からの借入れをひとまとめにできる上、金利も低いのでおすすめです。例外貸付を一度利用した場合、総量規制を下回る金額まで返済を終わらせないと、例外貸付であっても新規で借入れることはできません。

②除外貸付

除外貸付は例外貸付と違い、総量規制を下回る金額まで返済しなくても新規の借入れが可能です。除外貸付に該当するのは以下のようなものです。

  • 自動車ローン
  • 住宅ローン
  • 高額な医療費を支払うための借入れ
  • 不動産を担保にする借入れ
  • 有価証券を担保にする借入れ
  • ビジネスローン

有担保のローンは貸し倒れとなるリスクを担保で賄えるので、総量規制を超えていても問題なく借入れできます。また、目的別ローンも、ローンの対象になっている車や物件が担保になるので借入れることが可能です。 特筆すべきはビジネスローンでしょう。ビジネスローンは事業の範囲内であれば、用途を問わないことが特徴です。事業の業績や今後の経営計画から返済能力があると判断されれば、年収を大きく超えた金額も借入れることができます。 ただし、ビジネスローンの申し込みには、過去の業績が分かる書類の提出が求められることが多いです。事業を始める前や、始めたての頃には融資を受けることができません。

事業資金を貸金業者から借入れる前に!悪質な貸金業者の特徴5つ

事業資金を借入れる際には悪質な貸金業者と取引しないよう注意する必要があります。悪質な貸金業者の特徴は以下の通りです。

  • 貸金業者の登録番号が明記されていない
  • 電話番号と住所が不明瞭
  • 審査が甘すぎる
  • 法外な利息と金利
  • 誇大広告を打っている

企業の実態が不透明であったり、貸金業法から大きく外れた金利の金融商品を勧めてきたりする貸金業者には特に注意する必要があります。悪質な貸金業者を見分けられるよう、上記の5つの特徴を1つずつ詳しく確認していきましょう。

貸金業者の登録番号が明記されていない

貸金業者の登録番号をチェックしましょう。基本的に合法な貸金業者は金融庁に登録されており、それぞれ登録番号が割り当てられています。 貸金業者の公式サイトなどに登録番号が明記されていない場合、金融庁に認められていない違法の貸金業者である可能性が高いです。 貸金業者からの借入れを考えているのであれば、まず業者の公式サイトを確認し、登録番号が明記されているかを確認しましょう。

電話番号と住所が不明瞭

電話番号や住所が不明瞭な貸金業者にも注意が必要です。 電話番号や住所が不明瞭な場合、トラブルが起きた際に業者に連絡を取ることができないため、大きな問題に発展する可能性があります。借入れる貸金業者を検討する際には、登録番号だけでなく住所や電話番号もチェックしておきましょう。

審査が甘すぎる

審査が甘すぎる貸金業者も、悪質な貸金業者である可能性があります。特に「審査なし」と謳っている貸金業者は危険です。原則として、金融庁に登録されている貸金業者は審査なしで融資を行うことはありません。 審査の基準にも大きな違いはないので、ろくに審査を行わずに融資を受けられる場合は違法である可能性が高いです。貸金業者を検討する際には、他の業者のローン商品とも比較の上、あまりに審査が甘い商品には手を出さないよう心がけましょう。

法外な利息と金利

金利が法外に高い貸金業者は確実に違法なので注意が必要です。貸金業者が設定できる金利は、貸金業法によって以下のように決まっています。

  • 借入金10万円未満の場合:年20%
  • 借入金10万円以上100万円未満の場合:年18%
  • 借入金100万円以上の場合:年15%

合法な貸金業者は、上記を超える金利を設定することはありません。上記を超える金利を設定している業者は違法業者であると判断できます。貸金業者を検討する際には、金利についてもよく確認しておきましょう。

誇大広告を打っている

「審査なし」「激あま審査」など誇大広告を出している貸金業者にも注意が必要です。先に述べた通り、金融庁に登録されている合法の貸金業者は、審査なしで融資を行うことはありません 他の貸金業者と比べて極端に審査が甘いことを宣伝している業者は、違法業者である可能性が高いです。甘い言葉に惑わされずに合法な貸金業者を選びましょう。

事業資金を貸金業者から借入れる時の注意点

ここまで、悪質な貸金業者の特徴を5つ確認しました。悪質な貸金業者の特徴を踏まえた上で、事業資金を貸金業者から借入れる際の注意点を3つお伝えします。

  • 金融庁に登録されているか
  • 貸付条件が適切か
  • 貸金業者が借用証明書を作成しているか

それぞれ具体的にどのような点に注意すべきか、順に詳しく見ていきましょう。

①金融庁に登録されているか

借入れる貸金業者が金融庁に登録されているかを確認しておくと安心です。合法な貸金業者は金融庁に登録され、登録番号を割り当てられています。つまり、金融庁に登録されているかどうかを調べれば、貸金業者が合法か否かの確認が可能です。 金融庁の公式ホームページでは登録番号や会社名から貸金業者を検索できるので、申し込み前にご自身で確認することをおすすめします。

②貸し付け条件が適切か

貸付条件が適切かを確認することも重要です。返済が現実的か否かは、金利や返済方法、返済期間を確認しないと判断できません。特に金利については、貸金業法で定められた上限金利を超えていないかよく確認しましょう。 一般的には融資を受ける前に保証料や手数料などが発生することはありません。融資を受ける前に金銭を要求された場合は、違法である可能性が高いので注意しましょう。

③貸金業者が借用証明書を作成しているか

貸金業者が借用証明書など融資に関する契約書類を作成し保管しているか、十分に確認しておく必要があります 契約締結前や締結時に書類を交わしていないと、契約内容を急に変更される恐れがあります。 また、完済後に過剰な返済を求められないよう、返済の度に受け取る領収書は捨てずにとっておくことをおすすめします。完済後は債権債務がなくなったことを証明するため、忘れずに債権証書を返還してもらいましょう。

貸金業者だけじゃない!今申し込める公的支援は?

事業資金を準備する方法は貸金業者からの融資だけではありません。政府や自治体が用意している公的支援を利用するのも手です。 ここでは公的支援を行っている代表的な機関として、以下の3つを紹介します。

  • 日本政策金融公庫
  • 小規模企業共済
  • 経営セーフティ共済

日本政策金融公庫は、中小向け小口資金の融資の他、「新創業融資制度」や「新規開業資金」といった融資制度を取り扱っています。 「新創業融資制度」や「新規開業資金」は事業開始時に必要な開業資金を融資してくれる制度です。審査基準を満たせば事業の実績がなくても借入れることができます。 小規模企業共済や経営セーフティ共済は、中小企業や個人事業主による互助会のようなものです。共済に加入して掛金を支払っておけば、経営難に陥った際や倒産時にまとまったお金を借入れることができます 他にも、自治体ごとに補助金や助成金を提供している場合があります。現在自治体が提供している補助金や助成金については、J-Net21のホームページで調べることが可能です。

まとめ:事業資金を借入れる前に貸金業法について理解しておこう

事業資金を借入れる前に知っておきたい貸金業法の概要や、悪徳業者の見分け方について解説しました。金融商品は貸金業法により、融資できる金額や上限金利が決まっています。 誤って悪質な貸金業者から借入れることのないよう、貸金業法の内容をよく把握した上で、以下の3点に注意して貸金業者を選びましょう。

  • 金融庁に登録されているか
  • 貸付条件が適切か
  • 貸金業者が借用証明書を作成しているか

事業資金を準備する方法は貸金業者からの借入れだけではありません。貸金業者からの借入れと並行して、政府や自治体の公的支援を受けることも検討してみてください。

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