日本政策金融公庫からの融資を検討している人にとって気になるのは、融資までの期間や審査の難易度ではないでしょうか?
申し込む方法や準備すべき書類、どのようなことを調査されるのか気になるものです。
この記事では日本政策金融公庫の融資について、申し込みから融資が実行されるまでの流れを紹介します。
日本政策金融公庫の融資手続きの方法
日本政策金融公庫の融資手続きには、2通りの方法があります。
- 自分自身で申し込む
- 認定支援機関を通じて申し込む
自分自身で申し込むとは、書類の準備や公庫担当者とのやり取り、面談などをすべて自分で対応します。
認定機関を通す申し込みとは、税理士や公認会計士などの専門家に依頼する方法です。
次からは、それぞれの方法について手続きの流れを詳しく解説していきます。メリットについても触れますので、自身に合った手続き方法を見つけてください。
日本政策金融公庫融資の流れ【自分自身で申し込む場合】
自分自身で日本政策金融公庫の融資に申し込む流れは以下の通りです。
- 日本政策金融公庫へ融資相談
- 必要書類・資料を準備、郵送
- 日本政策金融公庫の融資担当者と面談
- 融資担当者による調査
- 融資決定後、融資の実行
自分自身で日本政策金融公庫の融資に申し込むメリットは「手数料がかからない」ことです。しかし、書類作成や準備の手間など慣れない作業が多いというデメリットもあります。
審査落ちすると履歴が残るため、再申請までに半年程度の期間が必要です。
ここでは、自分自身で日本政策金融公庫の融資に申し込む流れを解説するので、しっかりと把握しておきましょう。
日本政策金融公庫へ融資相談
まず日本政策金融公庫に融資の相談を行います。相談方法は、「電話」「オンライン」「相談窓口(来店)」から選択可能です。
電話は直接ダイヤルするだけですが、オンラインや相談窓口を利用する際は予約が必要なので以下を参考にしてください。
相談方法の種類 | 問い合わせや相談の予約 |
電話 | 0120-154-505 受付時間:平日9~17時 |
オンライン 相談窓口 | 事業資金や教育資金の相談 |
創業資金の相談 | ビジネスサポートプラザに相談予約 |
必要書類・資料を準備、郵送
融資に申し込むための書類や資料を準備し郵送します。郵送以外にも、インターネットや直接来店することでも申し込み可能です。
なお、借入申込書は日本政策金融公庫の公式HPからダウンロードできます。
融資目的 | 属性 | 書類・資料 |
事業資金 | 個人事業主 | 借入申込書 最近2期分の申告決算書 |
法人 | 借入申込書 最近2期分の確定申告書・決算書(勘定科目明細書を含む) 最近の試算表(決算後6ヵ月以上経過、または事業開始間もなく決算を終えていない場合) | |
創業資金 | 初めての利用 | 借入申込書 創業計画書(公式からダウンロード) 企業概要書(公式からダウンロード) 履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人のみ) 身分証明書(運転免許証かパスポートのコピー) 許認可証のコピー(届出が必要な事業のみ) ※創業計画書を提出する場合、企業概要書の提出は不要 |
設備資金 | 借入申込書 見積書 |
日本政策金融公庫では多くの融資サービスを取り扱っています。サービスによって必要書類が異なるので、担当者に確認した上で準備し申し込みましょう。
日本政策金融公庫の融資担当者と面談
次に、日本政策金融公庫の融資担当者と面談を行います。面談時間は約30分〜1時間程度が一般的です。
面談は以下のような内容としているので確認しましょう。
資金のお使いみちや事業の状況(計画)などについてお話を伺います。ご準備いただく書類は、営業状況(計画)や資産・負債がわかる書類などです
引用:日本政策金融公庫公式HP
店舗や工場をお訪ねすることがございます
面談は基本的に、事業計画書や創業計画書の内容に沿って行われます。そのため、計画書の内容を説明できる根拠となる書類などの準備も必要です。また、店舗などがある場合は訪問を受ける可能性もあります。
補足として服装はスーツでなくてもよいですが、社会人として相手に失礼とならない服装を心がけましょう。
融資担当者による調査
面談内容を含めて融資の可否を審査されます。あくまでも融資なので、返済能力があるのかどうかも重要なポイントです。
計画書や実際の店舗などの内容以外にも、さまざまなことを調査されます。以下のような問題があると、審査に通過することは難しいと考えておきましょう。
- 個人信用情報機関に登録されている
- 公共料金や税金の支払いが遅延している
- 自己資金が少ない
- 面談で根拠ある説明
融資決定後、融資の実行
日本政策金融公庫の融資決定後、担当者から電話か郵送で連絡があります。審査を無事通過できた場合、融資契約書類が事務センターから郵送されるので確認しましょう。
融資契約書類は捺印などをした上で返送します。ほかに個人の実印と印鑑証明書(法人はそれぞれ法人のもの)、収入印紙と振込先銀行口座のコピーが必要です。
事務センターに書類が到着してから、約3営業日ほどでお金が振り込まれます。すぐに融資を受けたい場合、担当者へ事前連絡を入れ契約書類を直接持参しましょう。1〜2日融資実行までの期間を短縮できる可能性があります。
日本政策金融公庫融資の流れ【認定支援機関を通す場合】
- 認定支援機関の専門家へ連絡をする
- 専門家とともに必要書類・資料を準備、郵送
- 日本政策金融公庫の融資担当者と面談
- 融資担当者による調査
- 融資決定後、融資の実行
- 条件によっては金利優遇が受けられる
- 融資額を増額できる可能性がある
- 審査を受ける支店を選択できる
- 書類作成サポートを受けられる
- 面談に同行してもらえる
認定支援機関の専門家へ連絡をする
認定支援機関の専門家は、中小企業庁の「認定経営革新支援機関検索システム」で探すことができます。
都道府県を選ぶと検索条件が表示されるので、あとは選択していくだけです。選択条件には相談可能内容もあり「創業支援」や「事業計画作成支援」など具体的な項目から選べます。
検索結果に表示された専門家の名前をクリックすると、問い合わせフォームが準備されているので連絡しましょう。
専門家とともに必要書類・資料を準備、郵送
専門家とともに借入申込書や必要書類、資料などを準備し日本政策金融公庫へ郵送します。
ほとんどの書類は専門家が作成してくれますが、確定申告書や決算書など自分で準備すべき書類もあるので確認しましょう。
事業計画書や創業計画書、収支計画書や経営改善計画書、資金繰り表などは専門家が作成してくれます。専門家と相談しながら、根拠のある資料を作成できるのは大きなメリットです。
日本政策金融公庫の融資担当者と面談
面談は基本的に申し込んだ本人と日本政策金融公庫の融資担当者が行いますが、専門家が同席できるケースも少なくありません。
通常、面談では同席者は認められていませんが、認定支援機関の専門家に限り同席を認められることもあるのです。
専門家が同席してくれれば、書類や資料を相談しながら作成しているのでスムーズに面談を進められるメリットがあります。
しかし、個人情報保護の観点などから同席が認められないケースもありので、専門家に任せっきりにするのは危険です。
自分でも内容はしっかりと把握し説明できるようにしておきましょう。
融資担当者による調査
面談内容を含めて融資の可否を審査されます。あくまでも融資なので、返済能力があるのかどうかも重要なポイントです。
個人信用情報や公共料金などの支払状況など、自分自身で申し込んだ場合と審査される内容は変わりません。
しかし、面談や資料などについては専門家が関わっているため、より精度の高い根拠ある内容になっているはずです。
融資決定後、融資の実行
ここは、自分自身で申し込んだ内容と変わりません。
日本政策金融公庫の調査が完了すれば、担当者から電話か郵送で連絡があります。審査を無事通過できた場合、融資契約書類が事務センターから郵送されるので確認しましょう。
融資契約書類は捺印などをした上で返送します。ほかに個人の実印と印鑑証明書(法人はそれぞれ法人のもの)、収入印紙と振込先銀行口座のコピーが必要です。
事務センターに書類が到着してから、約3営業日ほどでお金が振り込まれます。
すぐに融資を受けたい場合、担当者へ事前連絡を入れ契約書類を直接持参しましょう。1〜2日融資実行までの期間を短縮できる可能性があります。
日本政策金融公庫の融資までの期間
申し込みの決断から融資までには、1〜2カ月程度かかると考えておきましょう。
すべてが同じようなスケジュールで進むわけではありませんが、融資までには以下のように期間はかかります。
- 借入申込書の提出から面談まで:1〜2週間
- 面談〜融資決定まで:1〜2週間
- 融資決定〜融資実行まで:書類返送から3日程度
ほかにも提出書類や資料の作成に多くの時間がかかります。専門家へ依頼しておけば、書類や資料にかける時間を短縮できますが、それでも1カ月程度です。
自分自身で申し込む場合は、書類の内容によって2カ月程度かかります。
融資を検討しているなら、余裕を持って進められるように準備しましょう。
日本政策金融公庫で融資を受ける際の注意点
日本政策金融公庫で融資を受ける際は、以下3つの注意点があります。
- 融資の振込手数料は借主負担
- 根拠のある創業計画書を用意する必要がある
- 面談時の服装・身だしなみに気を付ける
融資の振込手数料は借主負担
日本政策金融公庫の融資金が入金される際の振込手数料は、借主が負担します。振込まれるのは、融資金額から振込手数料が引かれた金額です。
補足として日本政策金融公庫の融資を受ける口座は、通帳や窓口が存在しないネット銀行を指定できません。
融資を検討しているなら、メガバンクや都市銀行、信用金庫やゆうちょ銀行などの口座を準備した上で申し込む必要があります。
根拠のある創業計画書を用意する必要がある
根拠のある創業計画書を用意し、さらに面談でしっかりと説明する必要があります。
特に売上高、売上原価、経費の見通し項目など、数値に関わるものは根拠ある調査資料や説明を準備しましょう。
原価や経費などを具体的に確認できる見積書や概算などの資料も重要です。
また、認定支援機関の専門家に依頼していればプロに相談しながら創業計画書を作成できます。不安があるなら専門家へ依頼することも検討しましょう。
面談時の服装・身だしなみに気を付ける
面談時の服装は特に指定されていませんが、社会人として相手に失礼ではない服装など身だしなみに気を付けましょう。
スーツがあるならスーツを身につけたほうが無難ですが、シャツにジャケットのオフィスカジュアルなどでも問題ありません。普段仕事をしている格好でも違和感がないのでよいでしょう。
ただ、お金を借りるための面談です。汚れたジーンズやシワだらけの服装、個性的な私服などは避ける必要があります。
日本政策金融公庫の融資は流れを理解し自分に合った方法で申し込みましょう!
日本政策金融公庫の融資について、自分自身で申し込む方法と専門家に依頼する方法、それぞれの流れを解説しました。
自分自身で申し込むことには手数料がかからないとういメリットがあります。一方、専門家に依頼すると手数料は発生しますが、書類や資料作成、面談に同席してもらえるなどのメリットが多いのも特徴です。
申し込みから融資までの流れをイメージし、自分に合った方法で準備を進めましょう。