証券担保ローンとは?富裕層が主に利用する証券担保ローンの仕組みやメリット・デメリット

証券担保ローンとは? 特徴や利用すべき人

証券担保ローンは、保有している株式や債券などの有価証券を担保として融資を受けられるローン商品です。

特に、富裕層や企業経営者の間で注目されており、大規模な資金調達や資産運用の一環として利用されています。

しかし、証券担保ローンの仕組みやリスクを理解せずに利用すると、予期せぬトラブルを引き起こす可能性があります。

本記事では、証券担保ローンの基本的な概念や特徴、メリット・デメリット、さらには利用時の注意点について詳しく解説します。

証券担保ローンの活用を検討している方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。

目次

証券担保ローンとは?

証券担保ローンの仕組みについて解説します。

証券担保ローンとは保有している有価証券を担保に融資を受けられるローン商品

証券担保ローンとは、個人や法人が保有する株式、債券、投資信託などの有価証券を担保にして、金融機関から融資を受けられるローン商品です。

証券担保ローンは、短期間での資金調達が必要な場合や、手持ちの証券を維持しながら資金を得たい場合に活用できるローンです。

資産を売却せずに資金調達できるため、仮に株式を担保にした場合は、配当や株主としての権利を持ち続けられます。

一部の証券会社や日本証券金融などが取り扱っている

証券担保ローンは、一部の証券会社や日本証券金融といった金融機関が提供しています。

各金融機関には、証券市場や金融商品の知識を持つ専門家が在籍しているため、有価証券の価値を正確に評価することで、適切な融資額を設定します。

一般的には、上場株式や国債、地方債、投資信託などが担保として認められますが、取り扱う証券の種類や条件・金利は金融機関によって異なります。

例えば、特定の証券会社では特定の株式や債券しか担保として認められない場合もありますし、逆に、幅広い種類の証券を担保として受け入れる金融機関も存在します。

主に富裕層や上場企業の株式を大量保有している方が利用するローン

証券担保ローンは、主に富裕層や上場企業の株式を大量に保有している個人や法人が利用するケースが多いです。

特に、自社株を多く保有している上場企業の役員や経営者にとって、自社株を売却せずに資金を調達する手段として活用されています。

証券担保ローンを活用することで、株式の売却による株価への影響を気にせずに、必要な資金を確保できます

また、富裕層にとっては、大規模な資産を維持しながら、必要な資金を迅速に調達することが可能となります。

例えば、不動産投資や事業拡大のための資金調達、あるいは突発的な多額の出費に対応するために、証券担保ローンを利用するケースが多いです。

このように、証券担保ローンは、資産を手放さずに資金を調達するための手段として広く利用されています。

証券担保ローンの特徴

証券担保ローンの特徴について解説します。

無担保ローンや不動産担保ローンと比べて金利が低い

証券担保ローンの特徴の一つとして、無担保ローンや不動産担保ローンに比べて金利が低い点が挙げられます。

無担保ローンでは、担保がないため金融機関がリスクを高く見積もり、その分金利が高く設定される傾向にあります。

また、不動産担保ローンは、不動産の価値が下がったり売却までに時間がかかったりするため、金利が高めに設定されやすいです。

一方、証券担保ローンは以下の点から、金利が低めに設定される傾向にあります。

  • 有価証券という確実な担保がある
  • 現金化までの速度が速い
  • 価値が評価しやすい

このため、証券担保ローンは低コストで資金を調達する手段として利用されています。

一般的には最大10億円、一部顧客にはそれ以上など融資限度額が大きい

証券担保ローンでは、担保となる有価証券の価値に応じて大きな額の融資を受けることが可能です。

例えば、金融機関によっては最大で10億円以上の融資が可能な場合もあります。

そのため、大規模な事業資金の調達や大型の不動産投資、あるいは他の投資機会を逃さないための資金調達手段として利用されています。

証券担保ローンで借り入れた資金は自由に使える場合が多い

証券担保ローンで得た資金は、一般的に使途が自由なため、柔軟な資金調達手段として利用されています。

具体的には、事業資金や投資資金、個人の生活費や他のローンの返済など、さまざまな用途に利用できます。

一方で、一部の金融機関では資金の使途に制限を設けている場合もあります。

例えば、投機的な目的での利用が禁止されている場合や、特定の投資対象にしか資金を使えない場合もあります。

そのため、証券担保ローンを利用する際には、事前に金融機関の条件をしっかりと確認し、自分の資金使途に適しているかを判断するようにしましょう。

証券担保ローンで担保にできる有価証券

証券担保ローンでは、さまざまな種類の有価証券を担保にできます。

一般的には、上場株式、公社債、地方債、投資信託などが担保として認められます。これらの証券は、流動性が高く、市場での評価が容易であるため、金融機関にとってもリスクが低い担保とされています。

例えば、公社債や地方債といった債券は、国や地方自治体が発行するため、デフォルトリスクが低く、金融機関にとっても安心して融資を行えるため担保として認められています。。

金融機関によっては、未公開株や社債なども担保として受け入れる場合がありますが、これらは評価が難しいため、一般的には担保としての価値が低く見積もられることが多いです。

特に、未公開株は流動性が低いため、金融機関にとってはリスクが高いとされ、その分融資額が制限されることが一般的です。

どの有価証券が担保として利用可能かは、金融機関ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。

また、担保としての評価額は市場の動向に左右されることもあるため、リスクについても十分に理解しておく必要があります。

証券担保ローンでの資金調達がおすすめな方

証券担保ローンは、以下のような方におすすめです。

個人のお客さま・法人のお客さまを問わず、さまざまなニーズにご利用いただけます。

大和証券「このようなお客さまにおすすめです! | 証券担保ローン」

上場企業の社長や役員で自社株を自由に売却できない方

上場企業の社長や役員で自社株を持っているものの、規制によって自由に売却できない場合に証券担保ローンがおすすめです。

証券担保ローンを利用すれば、株式を売却せずに自社株を担保にして資金を調達できるため、株価への悪影響を避けつつ、必要な資金を手に入れられます。

例えば、企業の成長戦略を実現するための資金や、個人的な大きな支出に対応するための資金が必要な場合でも、自社株を担保にすることで、株主としての地位を保ちながら資金を調達できます。

また、株式を売却しないため、株価や市場への影響も避けられて、株主や投資家への配慮にも繋がるでしょう。

企業の株式や債券を多く保有している投資家

多くの株式や債券を保有している投資家は、証券担保ローンを利用することにより、証券を売却することなく、価値を活用して資金を得られます。

そのため、投資機会を逃さず、また資産の価値を維持しながら資金繰りが可能です。

例えば、株価が上昇傾向にあり、株式を持ち続けたい一方で、他の投資案件に参加したい場合に、証券担保ローンを利用することで、資産を保ちつつ新たな資金運用ができます。

多くの株式や債券を相続した方

相続によって受け継いだ株式や債券を活用して資金調達を行う方法として、証券担保ローンがおすすめです。

相続資産を売却せずに資金を得ることで、資産を保有し続けることができ、将来的な価値の上昇を期待しながら資金を活用できます。

特に、相続税の支払いなどで多額の資金が必要な場合に、証券担保ローンを利用することで、相続した資産を売却することなく、納税資金を確保することが可能です。

証券担保ローンを活用するメリット

証券担保ローンの4つのメリットについて解説します。

株主権利は保有したまま現金で資金調達ができる

証券担保ローンの最大のメリットの一つは、株主としての権利を保持したまま現金で資金調達できる点です。

証券担保ローンは保有している株式を売却するわけではないため、担保に出しても以下の株主としての権利は持ち続けられます。

  • 配当金受け取り
  • 株主優待受け取り
  • 株主総会への出席

そのため、株式を保有し続けることによる将来的な利益の確保をしながら、資金の調達もできるのです。

比較的審査が早く早急に現金を用意できる

証券市場における証券の価値は日々変動するものの、市場での評価が明確であるため、金融機関にとってもリスクが低く、審査がスムーズに進行します。

そのため、急ぎの資金調達が必要な場合でも、証券担保ローンを利用することで短期間で現金を用意することが可能です。

特に、急な事業資金が必要な場合や、投資機会を逃さないために迅速な資金調達が求められる場合に、証券担保ローンがおすすめです。

上場企業役員など保有株式を自由に売却できなくても資金調達ができる

上場企業の役員や大株主は、保有株式の売却が制限されているケースがあり、資金調達に苦労することがあります。

証券担保ローンは、株式を売却せずに資金を調達できるため、株式の保有を継続しながら、必要な資金を得られます。

証券担保ローンでの借り入れが節税につながる場合もある

証券担保ローンを利用することで、税制面でのメリットを得られる場合もあります。

例えば、証券の値上がり益に対してかかるキャピタルゲイン課税は、株式などを売却した際に請求されますが、証券担保ローンでは証券を売却せずに資金調達できるため、保有している株式はキャピタルゲイン課税の対象となりません。

そのため、長期投資で資金を増やそうと考えている投資家にとっては、証券担保ローンが大きなメリットとなります。

証券担保ローン利用時の注意点

証券担保ローンは、保有する株式や投資信託などを担保に資金を借り入れる方法で、多くの投資家に利用されています。

しかし、このローンにはいくつかの注意点があり、利用する際には慎重に考える必要があります。

担保にしている株の市場価格が下落すると追加担保が必要になる

担保にしている株の株価が急落した場合、そのままでは担保としての価値が不足し、追加の担保を求められる可能性があります。

もし追加の担保を用意できなければ、保有している資産は強制的に売却されます。

そのため、株価下落のリスクを考慮し、借り入れ額と担保のバランスを常に確認しておくことが重要です。

担保にしている株式の価格が大幅に下落すると強制売却される場合もある

担保としている株式の価格が大幅に下落すると、証券会社によって強制的に売却されるケースもあり、投資家が予期しない損失を被る可能性もあります。

例えば、ENECHANGEの代表取締役CEOである城口洋平氏は、2024年4月に自身が保有する同社株式の一部を売却したと発表しました。

売却数は44万5900株で、発行済み株式総数に対する割合は1.28%でした。

この売却により、同氏の所有割合は16.61%から15.32%に低下しました。

城口氏は証券担保ローンを利用しており、担保の時価の下落により、債務の一部を返済し、担保評価額に対する貸付金残高の割合を下げる必要が生じました。

その結果、市場で強制的な売却が発生したのです。

参考:ENECHANGE株式会社「変更報告書に関するお知らせ」

証券担保ローン|まとめ

証券担保ローンは、株式や債券を担保に資金を調達できる有効な手段で、特に富裕層や企業経営者に利用されています。

株式を売却せずに資金を得られる点や、低金利での融資が可能な点がメリットです。

しかし、担保にしている証券の価格が下落すると、追加担保の提供や強制売却といったリスクが生じるため、慎重な管理が必要です。

利用前には、十分な情報収集と慎重な判断が不可欠となるでしょう。

会社概要

株式会社ウェイビーのアバター 株式会社ウェイビー インキュベーション・Saas事業

デジタル社長支援システム「デジ社長」シリーズを展開。
金融機関・自治体・商工会向けのデジタル社長支援システム「デジ社長」の開発。
士業・コンサルタント・先生業・BtoB企業向けのデジタル社長支援システム「デジ社長PRO」の提供。
社長のワンマン化や業務の属人化をなくすことで業績アップを支援する中小企業向けシステム「デジ社長SB」の展開。
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