事業資金の借り換えの方法6選|日本政策金融公庫・プロパー融資の借り換えも解説

「事業資金の借り換えはどこでできる?」

「金利の安い借り換え先は?」

「借り換えすると今後の融資に不利?」

本記事では上記のような借り換えに関する疑問に答え、中小企業やベンチャー企業の事業融資で有名な日本政策金融公庫についても説明します。

融資の返済金額を減らしたい方、借り換えを検討している方はぜひ参考にしてください。

目次

事業資金の借り換えとは?

事業資金の借り換えとは、現在受けている融資やローンを別の金融機関のものに切り替えることです。

また、複数箇所から融資を受けている場合には、一本化する目的で借り換えをすることもあります。

返済先を1つにまとめることで資金管理がしやすくなるからです。

事業資金を借り換える6つの方法

事業資金を借り換えるために考えられる方法として、以下の6つが挙げられます。

事業資金を借り換える方法
  • 銀行(プロパー融資)
  • カードローン
  • ノンバンク
  • 信用保証協会による資金繰り円滑化借換保証制度(借換保証)
  • 日本政策金融公庫
  • 地方自治体(信用保証付き融資)

それぞれの借り換えの進め方やメリットについて、以下で解説します。

どの借り換えの方法もメリット・デメリットの両面があるので、両方を踏まえた上で検討するようにしてください。

銀行(プロパー融資)|借入金額の限度額なし

銀行と借入人が直接契約を結び、融資を受ける方法をプロパー融資と呼びます。

プロパー融資では第三者機関が融資を受けるプロセスで介入することがありません。

メリットデメリット
保証料が必要ない
金利が低め
借り入れ金額の限度額が大きい
審査に時間がかかる
審査に通りにくい

プロパー融資では信用保証協会を通さずに銀行と直接契約できるので、保証料を払う必要がありません。

また、基本的に借入金額の限度額が設定されていないので、大きな金額が必要な時にはプロパー融資が最適です。(ただし、いつも希望限度額が通るわけではありません。)

借り換えの際にもまず選択肢に上がる方法で、プロパー融資による借り換えを積極的に勧める銀行もあります。

ですが、プロパー融資は信用保証協会を通さない分銀行にとって貸し倒れのリスクが高いのも事実です。

そのため、実績の浅いベンチャー企業はプロパー融資の審査に通りにくく、銀行での借り換えはハードルが高いものだと言えます。

カードローン|融資までのスピードがはやい

カードローンは金融機関発行のカードを使い、ATMから直接お金を引き出して融資を受ける方法です。

手軽で、個人で利用している方もたくさんいます。

メリットデメリット
融資までのスピードがはやい
カードでATMから簡単に借り入れできる
保証人・担保がいらない
金利が高い
長期の借り入れに向かない

カードローンには銀行カードローンと消費者金融カードローンの2種類があります。

銀行カードローンは金利が低く、消費者金融カードローンは融資までのスピードがはやい傾向にあります。

個人向けカードローンが一般的ですが、事業用のものもあります。

カードローンなら保証人・担保なしで融資を受けられるのがメリットです。少額の場合は手数料がいらないこともあるので、資金調達方法の1つとして知っておくとよいでしょう。

ですが、カードローンの金利は他の借入方法と比べて高めに設定されています。つまり、カードローンは長期的な返済が前提となる借り入れには向いていません。

限度額も低めに設定されているので、他からの借金を一括返済するだけの資金を調達できないことも考えられます。

カードローンで借り換えをしても返済総額を減らせないので、借り換えには不向きです。あくまで、一時的・緊急的な少額の借り入れのために利用することをおすすめします。

ノンバンク|審査が柔軟でスピード融資が期待できる

ノンバンクは、簡単に言うと銀行以外の金融機関を指します。

厳密には預金の機能を持たない金融機関のことで、消費者金融などを指します。

メリットデメリット
審査が柔軟
融資スピードが早い
金利が高い

信用金庫は銀行ではないものの預金機能を持つので、ノンバンクには含まれません。

ノンバンクには以下の種類があります。

  • クレジットカード・ローンを扱う信販会社
  • 消費者金融
  • 銀行系ローン会社
  • ビジネスローン会社
  • リース会社
  • 不動産金融専門会社

ノンバンクは審査が柔軟で融資スピードが早いので、上手に活用すれば役に立つ資金調達方法です。

プロパー融資や公的機関で融資してもらえなかった時の方法として挙げられますが、金利が低くなってきていると言えどもやはりまだ高く、借り換えに向いていると言えません。

信用保証協会による資金繰り円滑化借換保証制度(借換保証)|複数の借り入れを一本化して負担軽減

信用保証協会による資金繰り円滑化借換保証制度(借換保証)は中小企業庁が中小企業の資金繰りを助けるために設けた制度です。

本制度の目的は、デフレの進行等による売上高の減少等に対応し、保証付借入金の借換や複数の保証付借入金の債務一本化等を促進することにより、中小企業の月々の返済額の軽減等を推進し、中小企業の資金繰りを円滑化することです。

引用:中小企業庁「資金繰り円滑化借換保証制度」

複数の借入を一本化し、低い利子を提供することによって返済総額を減らし、中小企業の負担を軽減します。

メリットデメリット
複数の借入を一本化できる
利子が低い
申し込みには各種条件がある
融資までに時間がかかることがある

申し込みには複数の条件があり、該当条件によって「セーフティ保証(自然災害や貸付先の銀行の状況などで財務状況が悪化している場合)」「一般保証」などに分かれ、保証内容も異なります。

新型コロナウイルスの影響を受けた場合もセーフティ保証の対象になるので、コロナのせいで売上が下がった事業主の方は注目してみてください。

中小企業の経営をしているなら、借り換えの保証内容について一度確認してみましょう。

日本政策金融公庫|起業したてでも融資を受けやすい

日本政策金融公庫は行政による金融機関です。

日本公庫は、「一般の金融機関が行う金融を補完すること」を旨としつつ、国の中小企業・小規模事業者政策や農林漁業政策等に基づき、法律や予算で決められた範囲で金融機能を発揮している政策金融機関です。

引用:日本政策金融公庫 総裁メッセージ
メリットデメリット
ベンチャー企業や中小企業でも審査に通りやすい
金利が低い
民間融資の借り換えは原則禁止(例外あり)

創業したばかりの企業にとってプロパー融資はハードルが高く、ほとんどの場合審査に通りません。

そこで、ベンチャー企業や中小企業も融資を受けられるよう日本政策金融公庫が設立されました。

日本政策金融公庫は他の金融機関と比べても金利が低く、起業したての人でも融資を受けやすい傾向にあります。

ですが、注意したいのが、民間で受けた融資を日本政策金融公庫で借り換えるのは認められない点です。

日本政策金融公庫は政府出資の機関で、民間の金融機関を補うために置かれています。

政府機関が民間企業の借り換えを認めると、民間企業の融資額が減り、経営を妨害することになります。

民間企業の利益を守るためにも、日本政策金融公庫は借り換えに応じません。

民間で融資を受けつつ、追加融資という形で日本政策公庫から資金を調達することは可能です。

日本政策金融公庫はさまざまな融資制度を用意しているので、ぜひ一度内容を確認してみてください。

地方自治体(信用保証付き融資)|信用保証料や借入額の利子の補助が受けられる

県や市町村など地方自治体が用意している信用保証付き融資も知っておきたい手段です。

メリットデメリット
さまざまな制度があり、金利が非常に安いこともある制度は自治体によるので、必ずしも借り換え制度があるわけではない

まず借り換えを考えるなら、地方自治体の制度をチェックしてみてください。

地方自治体の中小企業融資制度を使えば固定金利で融資や、信用保証協会に払う信用保証料や借入額の利子への補助を受けられます。

事業の復興が目的の制度なので、金利1%台で融資を受けられることもめずらしくありません。

補助はいくつか用意されているのが一般的で、用意されている補助が県と市で異なるケースもあります。

お住まいの地方自治体の信用保証協会や市町村が設けている融資制度を一度確認してみてください。地方自治体の信用保証付き融資が借り換えにも利用可能な場合には、その旨が明記されています。

ただし、補助の目的に借り換えがそぐわない場合には、補助を受けられないこともあります。

借り換えをする前に確認したい3つのポイント

借り換えの際には以下3つのポイントを適切に把握する必要があります。

借り換えのポイント
  • 財務状況の健全性
  • 返済の遅延の有無
  • 新規の借入希望額は希望通りか否か

各ポイントは借り換え審査に通るために確認しておく必要があります。

財務状況が健全でなく、返済遅延の過去があれば審査が非常に厳しくなってしまいます。

また、たとえ審査に通っても借入希望額通りになっているかどうかはわかりません。

3つのポイントについて以下で解説するので、借り入れの際には必ずチェックしてください。

財務状況の健全性

ポイント内容
財務の健全性返済が済んでいない借り入れはないか
利益の確保毎月継続的な利益を生んでいるか
財務資料の正当性財務に関する資料に矛盾はないか

利益は十分にあげられているか、倒産の可能性がないか、借り入れの際に必ず金融機関から財務状況をチェックされます。

また、借り換えは創業融資よりも審査が厳しくなりがちなので事業計画を入念に練っておかなければなりません。

まずは自分で事業の財務状況を確認し、健全性を示すことが大切です。

財務状況が悪くても、決算書を書き換えることは厳禁です。粉飾決算という犯罪にあたります。

「この財務状況では審査に通るか不安」という場合には、顧問の税理士など財務のプロにまずは相談してみてください。

返済の遅延や他社カードローンで借金をしていないか

現在借りているお金の返済は滞っていたり、他社のカードローンで借金をしたりしていませんか?

ポイント内容
現在の借入状況現在返済が済んでいない借入がないか
過去の返済過去に2ヶ月以上返済が遅れたことがないか
複数社からの借入2社以上からの借入がないか

融資を受けるには、上記を満たす必要があります。

返済遅延の有無は必ずチェックされます。事業だけでなく、個人の債務状況も見られることもあるので注意が必要です。

また、過去に返済が遅延したなら、その理由を把握しておきましょう。理由によっては遅延が妥当とみなされ、遅延しつつも返済した事実を評価される場合もあります。

万が一、現状にて借り換え元以外の借金がある場合には、ファクタリングなどを利用して借り換え融資を申し込む前に返済を終えておくことをおすすめします。

ファクタリングとは、売掛債権(請求済み請求書)を買い取ってもらい、現金を得る方法です。

新規借入希望額を希望通りに受け取れるか

借入希望額の希望通りに融資を受け取れそうでしょうか。

注意点
  • 借入希望額が大きすぎると審査に通らないこともある
  • 審査に通っても融資額が借入希望額よりも小さくなることもある

新規で借入する場合は特に、借入希望額にも注目してください。借入希望額が高いほど審査のハードルが上がります。

借入希望額が高すぎると判断された場合には、審査に通ったとしても、借入希望額が希望通りに設定されるとは限りません。

借入希望額が希望通りでない場合には、他の金融機関から借り換えをした方がよいこともあります。

審査に通ったからといって、契約を急ぎすぎないようにしましょう。

また、保証料の有無にも注意です。金利や保証料・手数料などを考えると結果として「借り換え前よりもあまり差がない」ということも考えられます。

新規借入希望額から諸経費を差し引いて計算することが大切です。

借り換えによる注意点

借り換えをする方がいい、と考える方が多いかもしれませんが、借り換えには下記2点のようなリスクもあります。

リスク
  • 借り換え手数料がかかる
  • 前に融資を受けた銀行から今後融資を受けられなくなる可能性がある

借り換えを行う前に、そのリスクを理解しておくことが大切です。

「借り換えによって金利がお得になる」と思い込んでいると、後々損してしまうこともあります。

借り換えのメリットとリスクをてんびんにかけ、どちら方が大きくなるかを事前に見積もっておくことが大切です。

借り換え手数料がかかる

借り換え元・借り換え先のどちらにも手数料を払うことになり、一般的に借り換え手続きには10万円前後の手数料が必要です。

少なくとも、以下のような手数料が借り換え時にかかります。

事業手数料融資額の1〜2%
受けていた融資を
一括返済する際の手数料
3〜4万円
印紙代1万円程度

返済金額が少ない場合には「借り換え手数料を考慮すると、借り換えする方がお金がかかってしまう」ということもありえます。

借りる金額によっても手数料が変わるので、あらかじめ手数料も含めて借り換えを考慮するようにしてください。

前に融資を受けた銀行から今後融資を受けられなくなる可能性がある

借り換えをすると、前に融資を受けた銀行から信用を失い、今後融資を受けられなくなる可能性があります。

たとえば、金利3%の銀行から1%の銀行に借り換えすると、その分返済総額が減るので事業者としては得をします。

ですが、最初に融資した銀行からは「付き合い関係なしに金利の低さで簡単にメインバンクを変える人」と思われ、築いてきた信頼関係を失うことになりかねません。

今後追加融資を申し込んだとしても、断られてしまうかもしれない点に留意しましょう。

金利だけでなく銀行との関係性も踏まえて、借り換えをするべきか考える必要があります。

日本政策金融公庫の借り換えはバレる?

日本政策金融公庫は追加融資はしてくれても、借り換えには対応してくれないと前述しました。

ですが、過去に受けた融資を隠して日本政策金融公庫から追加融資を受けたり、その資金を現在受けている融資の返済にあてたりすることはできるのでしょうか。

日本政策金融公庫の審査では、過去の融資は必ずバレます

審査の際にはプロパー融資の履歴だけでなく、カードローンやクレジットカードの返済履歴まで見られるからです。

日本政策金融公庫は信用機関CICやその他の機関と提携しているので、申し込む人の債務状況をすべて把握できるようになっています。

過去に受けた融資を隠すと信用できない人物とみなされて、本来通っているべきはずの審査でも落とされてしまいます。

民間の金融機関から日本政策金融公庫に借り換えすることは不可能だと言えるでしょう。

借り換えよりも他の手段の方が有効な場合も

借り換えをせずとも、財務状況によっては以下の方法が有効なことがあります。

借り換えより有効な手段
  • 繰り上げ返済
  • リスケ
  • 追加融資

借り換えのような手続きや手数料がいらないので手間が少なく、まずは検討すべき選択肢だと言えます。

それぞれの方法を以下で紹介します。

繰り上げ返済

借り換えによって返済総額を減らしたいなら、まずは繰り上げ返済も考えてみましょう。

メリット
  • 返済期間を短くできる
  • 手数料や特別な手続きが必要ない
デメリット
  • 繰り上げ返済するための資本が必要

事業がうまく回っているなら、繰り上げ返済によってまとまった額を返済するのも方法です。

繰り上げ返済は返済完了を早めるため、一回あたりの返済額を大きくしたり、残りの返済を一括で終わらせることを指します。

繰り上げ返済によって融資額が減ると月々の返済額が減り、借金への精神的な不安も和らぎます。

繰り上げ返済が可能なら、借り換えをする必要がありません。

手続きや手数料の支払いなどの手間がないので、経済的余裕のある事業者の方におすすめの方法です。

リスケ

リスケは「リスケジュール」の略で、返済期日や日程を調整することを指します。

メリット
  • 返済に猶予が持てる
デメリット
  • 返済が先延ばしになる
  • きちんとした経営計画・返済計画が必要

返済が厳しい場合には返済日程を遅らせてもらうこともでき、銀行ではよく利用される言葉です。

経営改善の計画をきちんと示すことができれば、リスケに応じてもらえる可能性は高い傾向にあります。

金融機関としても倒産による貸し倒れを防止したいので、事業を立て直し、きちんと返済してくれる方がありがたいからです。

追加融資

追加融資は、金融機関から2度目以降の融資を受けることです。

メリット
  • 審査が早く通りやすい
デメリット
  • 追加融資を受けた分返済額も増える

同じ金融機関での申し込みなら追加融資は審査が初回よりも早いので、迅速に資金を調達できます。

追加融資を受けて事業投資し、より大きな利益をあげる方が借り換えによって返済総額を減らすよりも合理的なケースがあります。

まとめ:借り換えの方法をよく理解し、自分に合った事業資金の借換をしましょう

借り換えはメリットだけでなくリスクを伴うものなので、自分に合った方法で適切に行うことが大切です。

借り換えを上手に利用すれば返済総額を減らしたり、複数の借り入れを一本化したりできるので、経営者は大きなメリットを享受できます。

ただし、借り換えにはリスクもあります

資金繰りを円滑にするためには、借り換えだけが方法ではないかもしれません。

繰り上げ返済やリスケ、追加融資などさまざまな手段を考慮し、最適な手段を選びましょう。

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株式会社ウェイビーのアバター 株式会社ウェイビー インキュベーション・Saas事業

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