自身が所有する不動産を担保にすれば、不動産担保ローンを使い高額な資金が借りられます。しかし、借入可能額は不動産の評価額や金融機関の審査基準によって大きく異なるため、評価の仕組みや審査基準を理解しておくことが重要です。
今回は、不動産担保ローンの仕組みや審査基準について、さらに審査通過率を高めるためのコツについて詳しく解説します。
不動産担保ローンで担保に出せる不動産の種類
不動産担保ローンでは、担保にできる不動産の種類によって、融資の可否や借入可能額が大きく変わります。銀行とノンバンクでは担保評価の基準が異なるため、不動産担保ローンを利用する前に、どのような不動産が担保にできるのかを理解しておきましょう。
土地や住宅・マンションなどの担保価値の高い不動産
金融機関は不動産の評価額をもとに融資額を決定するため、資産価値の高い不動産を担保にできるかが重要なポイントとなります。
【融資を受けやすい不動産の特徴】
1.路線価の高い土地(公的評価)
土地の価値は、国税庁が定める「路線価」によって評価される。路線価が高い地域の土地は、資産価値が安定しており金融機関からの評価も高い。
2.市場価格(実勢価格)の高い不動産
実際の取引価格(実勢価格)が高い不動産は、担保価値も高い。都市部や人気エリアの不動産は市場価格が高いため、有利な条件での融資が期待できる。
3.築年数(法定耐用年数)の浅い建物
建物の価値は築年数によって変動する。一般的に築年数が浅い物件ほど担保評価が高くなり、融資も受けやすい。法定耐用年数(木造22年、鉄筋コンクリート47年など)を大幅に超えた建物は、評価額が大きく下がる傾向がある。
担保価値の高い不動産を提供できれば、融資の可能性を広げることができるため、不動産の市場価値や公的評価は事前に確認しておくと良いでしょう。
二番抵当になる不動産
二番抵当とは、すでに第一順位の抵当権が設定されている不動産に対し、追加で設定される抵当権のことです。競売になった場合は、第一順位の抵当権者が優先的に弁済を受けるため、二番抵当権者の回収リスクは高くなります。そのため、銀行では二番抵当の不動産を敬遠する傾向がありますが、ノンバンクでは条件次第で融資が可能となるケースもあります。
ノンバンクが二番抵当でも融資できる理由としては、以下の点が挙げられます。
1.金利を高くして貸し倒れリスクをカバーしているため
ノンバンクの不動産担保ローンは、銀行よりも金利が高く設定しており、貸倒れリスクを金利でカバーしている。
2.独自の不動産流通ネットワークを持っているため
ノンバンクは独自の不動産売却ルートを持っている場合が多い。ローン契約者が返済できなくなった際は、競売ではなく迅速な任意売却を行える仕組みがあり、債権を回収できる。
3.審査基準が銀行よりも柔軟なため
銀行の審査は、業績や信用情報を重視するのに対し、ノンバンクは月々の返済能力や事業の将来性などをもとに審査をしてくれる。銀行で断られたケースでも、審査通過できる場合も多い。
しかし、下記に該当する場合は、二番抵当でも審査に落ちることがあります。
- 担保評価額に対し一番抵当の残債が大きい場合(評価額1,000万で残債も1,000万円あるなど)
- 法人の業績が極端に悪い場合
- 流動性の低い物件(借地権付き不動産、商店利用の不動産、長屋など)を担保にする場合
二番抵当の不動産を担保に融資を検討する際は、担保価値の把握や、必要な補完策(共同担保や連帯保証人の追加)も考えておきましょう。
ノンバンクなら競売物件や築古物件などでも借りられる場合がある
ノンバンクは、銀行が敬遠する築古物件や競売物件、いわくつきの不動産でも融資を行うケースがあります。銀行は担保価値が低い物件には消極的ですが、ノンバンクは市場価値や換金性を重視するため、審査基準が柔軟です。独自の不動産流通ネットワークを持っているため、売却の見込みが立つ不動産であれば融資を実行しやすいという特徴があります。
【ノンバンクが融資可能なケース】
1.築古物件
銀行は建築基準法に準拠しているかどうかを厳しくチェックするため、築年数が古い物件の評価は低い。一方で、ノンバンクは市場での換金性を重視するため、一定の評価額があれば融資対象になる。
2.事故物件(いわくつき物件)
入居者が死亡したなどの事故物件は市場価値が低くなるため、銀行は担保として扱わないことが多い。ノンバンクでは、評価額に応じた融資を行う場合がある
3.長屋などの連棟式建物
所有者が複数存在する長屋は、流動性が低いため銀行の評価は低い。ノンバンクでは融資額の調整により対応することがある
4.競売物件
競売物件は市場価格より低く取得できる可能性がある一方、権利関係が複雑であるため、銀行は敬遠する。ノンバンクは競売物件の取り扱いにも慣れているため、短期間での査定が可能、かつ融資を実行する場合が多い。
ノンバンクの不動産評価は柔軟ですが、その一方で、融資額や返済期間などの条件が厳しい点には注意が必要です。流動性が極端に低い物件や、権利関係が不明確な不動産では、金利や融資額が大幅に制限される可能性があるため、事前に貸付条件は確認しておきましょう。
不動産担保ローンを借りる際の不動産評価方法
不動産担保ローンの審査では、物件の市場価値や流動性、法的適格性が詳細に査定され、融資可能額が決まります。評価方法には、固定資産税評価額や実勢価格(市場価格)、路線価などの公的評価基準が使われるほか、金融機関独自の査定基準も加味されます。
不動産担保評価額の算出方法
不動産の評価額は単純な市場価格だけでなく、金融機関ごとに異なる基準が適用されます。実際にはどのような算定基準があるのか、詳しく見ていきましょう。
1.公的評価額
はじめに、固定資産税の評価額が確認される。これは公的に認められた評価基準で、多くの金融機関が担保価値の基礎資料として利用する。路線価や公示地価も参考にされることが多い。
2.市場価格(実勢価格)
次に、同じエリアでの過去の売買実績や直近の成約事例をもとに、市場価格(実勢価格)の動向がチェックされ評価額が算出される。流動性の高い都市部の物件は、市場価格が公的評価を上回ることが多い。
3.立地環境や市場環境
物件の立地や周辺環境も評価の重要な要素。駅や商業施設の近接性、将来的な開発計画、周辺の需要動向など、地域の発展性が査定に影響する。また、接道状況や建ぺい率・容積率の制約など、法的な適格性もチェックされる。
4.流動性(換金性)
どれだけスムーズに売却できるかが融資判断のポイント。市場での流動性が高い(売れやすい)物件ほど高い評価が付きやすく、融資額も増える傾向がある。田舎の土地や特殊な用途の物件は流動性が低いため、評価額が低めに設定されることが多い。
不動産担保ローンの審査をスムーズに進めるためには、事前に公的評価や市場価格の相場を把握し、適正な評価額の範囲内で融資を申込むのがポイントです。
ノンバンクと銀行の評価方法の違い
銀行とノンバンクでは、不動産の評価方法が大きく異なります。どちらを利用するかによって、融資の可否や条件も変わるため、それぞれの違いについても理解しておきましょう。
主な評価項目 | 審査の厳しさ・柔軟性 | 融資の目安(担保価値に対して) | |
銀行 | ・不動産の担保評価額・法人:決算書・事業計画、税金の納付状況、代表者の信用情報・個人:年収や勤務先、信用情報 | ・与信審査が厳格(安定した経営や収入が求められる)・審査通過のハードルは高い | ・担保評価額の50〜70%程度が一般的 |
ノンバンク | ・担保評価を最優先・赤字決算や税金未納、個人の信用情報に問題があっても担保が十分なら審査を通過しやすい | ・銀行よりも柔軟(債務超過や税金未納があっても返済可能性を重視)・信用情報に問題があっても担保価値が高ければ融資可 | ・担保評価が十分であれば比較的高い割合での融資も可能 |
評価額が低くても融資が受けられるケース
銀行の場合は、担保評価額に対する融資額の上限が厳しく設定されているため、評価額が低い物件での融資は難しいでしょう。しかし、ノンバンクでは担保評価だけでなく、返済能力や保証の有無なども考慮されるため、評価額が低い不動産でも融資が受けられるケースがあります。
【不動産の担保評価が低くても融資が受けられるケース】
1.連帯保証人を設定できる場合
担保評価額が低くても、信用力のある連帯保証人がいれば融資が可能になることも多い。
2.安定収入がある場合
公務員や大手企業の従業員のように収入が安定している人であれば、評価額が低くても融資を受けやすい。
銀行で断られた場合でも、上記のような条件を満たせているなら、ノンバンクで融資が受けられるかもしれません。不動産の価値や貸付条件を比較検討しながら、自分にあった金融機関やノンバンクで不動産担保ローンを申込むと良いでしょう。
評価額を上げるコツ
不動産担保ローンでは、評価額そのものを申込者が直接操作することは不可能です。担保評価を上げて、より大きな融資を受けたいなら、不動産の価値を高めることができないか検討してみましょう。
下記の方法であれば、少額でも不動産価値を高めることができます。
1.周辺環境を整備する
不動産の市場価値は、立地や環境にも大きく影響される。地域の清掃活動に参加したり、治安向上のために自治会に監視カメラ設置を提案するなど、地域全体の価値を向上させる取り組みは効果的。
2.物件のメンテナンス
建物の老朽化は評価額を下げる大きな要因。特に雨漏りや外壁のひび割れなど、構造的な問題があると、修繕費用を差し引いた評価をされてしまう。最低限の補修(外壁の塗装、屋根の修理、共用部分の清掃)を行うだけでも評価が変わることがある。
3.不要物を撤去する
物件内外に残置物があると、流動性が低いとみなされ評価が下がる場合がある。審査担当者が現地調査を行い、放置された家具や廃棄物を見た場合、低評価を下すことも多い。不要物は撤去し、できるだけ清潔な状態にしておくのがポイント。
4.建築基準法に準拠しているか確認する
特に銀行の不動産担保ローンでは、建築基準法の制限を超えた増築や改築が行われている場合、融資を受けにくい。ノンバンクでも評価額が低くなり、融資条件が厳しくなる可能性が高い。物件の法令適合性を確認し、必要に応じて合法的な状態に戻すのが評価額を上げるポイント。
不動産担保ローンの審査に通過するためには、不動産の流動価値を高めることが重要です。売却時に問題なく市場に流通できる状態かどうか、専門業者に相談しながらチェックしておくと良いでしょう。
事業者が不動産担保ローンを利用する際の審査基準
不動産担保ローンの審査基準は、「不動産の担保評価額」と「事業の財務状況」の2つが主なポイントです。
銀行の場合は、決算書の内容や事業計画の内容をもとに審査が行われます。一方で、ノンバンクは「担保評価ありき」の審査を行うことが多く、財務状況が悪化している事業者でも、不動産価値によっては融資を受けることが可能です。
事業者向け融資の審査でチェックされるポイント
不動産担保ローンの審査では、担保評価額が最も重要視されるものの、銀行では事業の収益性や成長性、代表者の信用力も細かくチェックされます。審査を通過するためには、単に不動産を担保に差し出すだけではなく、事業計画や返済計画などの資料を用意し、説得力のある説明を行うよう努めましょう。
【事業者向け融資の審査でチェックされるポイント】
1.不動産の担保評価額 | 担保となる不動産の市場価値や流動性が厳格にチェックされる。 |
2.周辺環境の実態調査 | 担保不動産とその周辺環境の写真を撮影し、現地視察が実施される。前面道路の幅員や接道状況、周辺の治安やゴミ問題などが審査に影響することがある。 |
3.法人の決算書・事業計画 | 銀行は、過去の決算書の内容やキャッシュフローの安定性も厳しく審査する。ノンバンクの場合は、赤字決算であっても担保価値が高ければ融資を受けられるケースも多い。 |
4.代表者の信用力(与信審査) | 代表者の借入状況、信用情報も審査の対象。代表者個人のクレジット履歴が悪い場合融資は難しい。一方で、ノンバンクでは担保価値を重視するため、個人信用情報に問題があっても融資が実行されることがある。 |
5.返済能力の維持 | 返済能力を維持できるかがチェックされる。事業の成長戦略や将来的な利益計画が見られることも多い。将来性が不透明な業種や、ビジネスモデルが曖昧だと審査に落ちるケースもある。 |
事業者融資の審査通過率を上げる方法
不動産担保ローンでは、不動産の評価額だけで融資の可否が決まるわけではありません。いくつかのポイントを意識すれば、審査通過率は上げられます。
【事業者融資の審査通過率を上げる方法】
1.連帯保証人をつける | ・以下のような保証人がいると審査通過率は上がる ※財務状況が健全な法人や個人 ※金融機関との取引履歴が長く、信用力の高い保証人 ※事業の共同経営者や取引先で信頼関係のある人物 |
2.安定したキャッシュフローを示す | ・主要取引先の信用力を説明し、未回収リスクが低いことを証明する・今後の収益計画を具体的に示し、長期的な返済能力を証明する |
3.事業計画の明確化 | ・改善策やコスト削減の取り組みを明確に示す・経営者が数字に明るいことをアピールする |
4.経営者の熱意を伝える | ・経営者の姿勢も重要 ※市場規模や競争優位性を示す ※新規事業や設備投資の目的、それによる売上増加の見込みを説明する ※経営者の事業に対する熱意を伝え、融資担当者に「この事業を支援したい」と思わせる |
審査を通過するためには、事業の収益性や返済能力を明確にし、金融機関に対して納得感のある資料を提供することが求められます。
個人が不動産担保ローンを利用する際の審査基準
不動産担保ローンを個人で利用する際には、不動産の評価額だけでなく、申込者の信用力や返済能力が厳格に審査されます。銀行とノンバンクでは審査基準が異なり、どこに申し込むかによって融資の可否が変わるため、事前に審査基準を理解しておくことが大切です。
個人向け融資の審査でチェックされるポイント
個人が不動産担保ローンを利用する際、金融機関は担保となる不動産の価値に加え、申込者の返済能力や信用情報を総合的に審査します。
【審査でチェックされるポイント】
1.年収と職業の安定性
年収や収入の安定性が審査される。給与所得者や公務員など、安定収入がある人のほうが審査に通りやすい。
2.信用情報と金融事故歴
クレジットカードやカードローンの支払い状況、過去の金融事故(延滞、債務整理、自己破産など)がチェックされる。
3.不動産の担保価値
不動産の評価額は審査で最重視されるポイント。特に都心部の物件や市場流動性の高い不動産は有利。
4.申込者の人柄(謙虚な姿勢があるか?)
担当者との面談時の態度や受け答えも審査に影響することが多い。金融機関側としては「この人に貸しても大丈夫か?」を判断するため、誠実な対応が求められる。
個人向け不動産担保ローンの審査は、担保価値だけでなく、申込者の信用情報や返済能力が重要な判断基準となります。申込み前に自分の信用情報や収入の状況を確認し、もし問題があるようなら、状況が改善するまで申込を待ったほうが良いケースもあります。
不動産担保ローンで借りた資金の使い道
不動産担保ローンの資金使途は、金融機関によって異なるため、利用前に事前に確認することが重要です。特に銀行融資では、用途を明確にしなければ審査に通らないケースがあります。一方で、ノンバンクでは、比較的自由な資金使途が認められることが多いでしょう。
法人の場合|事業資金
不動産担保ローンは、法人や個人事業主が事業を継続・拡大するための資金調達手段として利用されることが一般的です。運転資金や設備投資のために活用されるケースが多く、事業の資金繰りを改善させるのに役立ちます。
【事業資金に使う場合の用途】
- 運転資金:仕入れや給与支払い、販促費など、日常の事業活動を維持するための資金
- 設備資金:新規の設備投資や機械購入、店舗改装など、長期的な事業成長に必要な資金
- 事業拡大資金:新規事業の立ち上げや、既存事業の拡大に伴う費用
- 不動産購入:事業用不動産の取得資金(オフィス・工場・店舗など)
個人の場合|他社借入の借り換えやおまとめ
不動産担保ローンは、他社からの借入をまとめる「おまとめローン」としても活用されることがあります。高金利の無担保ローンやカードローンで複数の借入がある場合、一本化すれば返済も楽になるでしょう。
【不動産担保ローンで負債を一本化するメリット】
- 金利の引下げ:無担保ローンよりも低金利で借り換えできる可能性が高い
- 返済額の低減:複数の借入を一本化することで、毎月の返済額を減らすことができる
- 返済期間の延長:担保があることで長期返済が可能になる
ただし、負債を一本化して返済期間が延びると、トータル返済額が増えるリスクもあります。一本化する場合は、金利や返済総額を事前にシミュレーションし、借り換えのメリットが本当にあるのかを慎重に判断しましょう。
投機目的の利用はNG
不動産担保ローンは、事業資金や借り換えなど、確実な返済が見込める用途を前提に提供されるため、投機目的での利用は基本的に認められていません。特に銀行が扱う不動産担保ローンでは、資金使途の管理が厳格で、用途を証明する書類提出を求められるケースも少なくありません。万が一、虚偽申告が発覚すれば、融資の即時解約や法的措置を取られる可能性もあります。
一方、ノンバンクでは資金使途の確認が緩やかな場合も多く、実質的に自由に使えるケースもあります。しかし、返済不能になれば担保不動産を失うリスクがあるため、投機目的の利用はおすすめできません。
税金支払の利用は可能
不動産担保ローンを税金の支払いに充てることは可能ですが、金融機関によって対応が異なります。銀行は、事業資金や設備投資などの前向きな資金用途を重視するため、税金支払いを目的とした融資には消極的です。特に、滞納税の支払目的での借入れは「後ろ向きの資金使途」と見なされ、審査が厳しくなることがあります。
ノンバンクでは、税金の支払いを目的とした不動産担保ローンを提供しているところもあり、比較的審査も柔軟です。消費税や固定資産税の支払い用途では柔軟に対応するケースが多いため、税金の支払いに困った場合は、銀行だけでなくノンバンクの選択肢も検討すると良いでしょう。
不動産担保ローンの審査通過率を上げるためのポイント
不動産担保ローンの審査基準は、銀行やノンバンクによりさまざまで、詳しい基準は公開されていません。ただ、いくつかのポイントを押さえておけば、審査通過率を上げることは可能です。どのような点に注意すれば審査に通りやすくなるのか、詳しく見ていきましょう。
代表者の個人信用情報に注意する
不動産担保ローンの審査では、代表者(申込者)の信用情報も審査対象となります。特に銀行の場合、金融事故(延滞・債務整理・自己破産など)の履歴があると、審査が厳しくなるケースがほとんどです。
自身の信用情報は、CICやJICCの「信用情報本人開示」で確認できます。
銀行では、代表者の人柄も重視されます。例えば、担当者との面談時の対応や態度が、審査結果に影響を与えることもあります。返済能力だけでなく、誠実さを示すよう心がけましょう。
担保物件の価値を事前にリサーチしておく
不動産担保ローンの審査では、担保となる不動産の価値が審査結果を左右します。事前におおよその評価額を把握しておけば、「高額融資を申込んで否決される」といったことはなくなるでしょう。
担保物件の価値は、下記の方法で確認できます。
- 固定資産税評価額の確認:自治体から送付される固定資産税通知書を確認
- 路線価・公示地価の確認:国税庁の路線価図や国土交通省の地価公示を活用
- 不動産業者への相談:地域の不動産会社に査定を依頼
また、境界線の確認や権利関係の整理(相続登記の完了など)を行っておけば、審査もスムーズに進みます。
審査通過しやすい金融機関やノンバンクを選ぶ
不動産担保ローンの審査を通過しやすくするためには、自分の条件に合った金融機関やノンバンクを選びましょう。銀行とノンバンクでは審査基準が異なるため、事前に比較検討しておくのが、審査通過率を上げるコツです。
- 銀行や信用金庫:金利は低めで審査は厳しい。すでに取引がある場合は有利
- 大手ノンバンク(消費者金融系):金利はやや高めだが、審査が早く対応が柔軟
- 地域密着型ノンバンク:地元の不動産市場に詳しく、担保評価が適正に行われる
ただし、信販系のノンバンクは、利用者の立場にたった審査をしてくれないケースが多いため、利用は控えたほうがいいでしょう。また、ノンバンクを選ぶ際には、金融庁の認可を受けているかを確認し、違法業者を避けることも重要なポイントです。
不動産担保ローンを利用する際の注意点
不動産担保ローンは、大きな資金を確保できる一方で、金利負担や返済不能時のリスクが伴います。適切な業者を選ばなければ、違法業者に巻き込まれる危険性も否めません。
不動産担保ローンの金利に注意する
不動産担保ローンの金利は、銀行よりもノンバンクが高いのが一般的です。銀行の金利は1.5~2%程度が多く、一方でノンバンクの金利は5~6%前後です。
金利が高いと月々の返済負担が増え、資金繰りが厳しくなるリスクが発生します。適正な金利で融資を受けるためには、事前に複数の不動産担保ローンを比較し、できるだけ低金利で借りられるところを選びましょう。
返済できないと担保を失う
不動産担保ローンの返済に遅れると、不動産を失うリスクがあります。特にノンバンクは、銀行よりも回収に対する対応が厳しく、有無を言わさず競売まで持ち込むため注意が必要です。
万が一返済が厳しくなった場合には、早めに金融機関へ相談し、リスケジュール(返済条件の変更)を交渉するのがおすすめです。
違法業者かどうかをチェックする
不動産担保ローンを提供する貸金業者の中には、大手企業を装った違法業者も存在します。違法業者を利用すると、法外な金利を請求されたり、担保を不当に処分されたりすることもあるため細心の注意を払いましょう。
違法業者かどうかをチェックするポイントは下記3つです。
- 金融庁に登録されている業者かをチェックする(公式サイトで登録番号を確認)
- 金融庁のデータベースで確認する(登録番号を虚偽表示している業者もあるため)
- 公式なオフィスが存在しない、連絡先が携帯番号のみの場合は要注意
正規の金融機関であるかを確認し、安心して利用できる業者を選ぶことが不可欠です。
不動産担保ローンでよくある質問
はじめて不動産担保ローンを利用する際は、審査基準やリスクについて不安を抱えるケースも多いでしょう。最後に、不動産担保ローンに関してよくある質問にもお答えしていきたいと思います。
審査が甘い絶対借りられる不動産担保ローンはありますか?
「絶対に借りられる不動産担保ローン」は存在しません。担保となる不動産があっても、利用者の返済能力がないと融資は行われないでしょう。
銀行の場合は、担保評価額に加え、信用情報や収入も厳しく審査されます。ノンバンクの場合は、担保評価額が大きな基準となるため銀行よりは借りやすいですが、それでも審査なしでは融資は受けられません。
不動産担保ローンがやばいと言われる理由は何ですか?
不動産担保ローンが「やばい」と言われる理由の一つは、返済できなくなった場合に、担保である不動産を失うリスクがあるためです。無担保ローンとは異なり、「不動産を失うかもしれない」という心理的な負担は大きいでしょう。ちなみに、万一返済できなくなった場合は、銀行よりもノンバンクのほうが迅速に競売手続きに入るケースがほとんどです。
不動産担保の本審査で落ちる確率は?
本審査で落ちる確率は、一概には言えません。ただ、仮審査を通過したのであれば、本審査で落ちる可能性は少ないでしょう。
ただし、以下のようなケースでは本審査で落ちることがあります。
- 収入や資産に関する虚偽の申告が発覚した場合
- 担保価値が本審査の段階で著しく低いと判断された場合
- 審査の途中で新たな借入れを行い、返済能力が変動した場合
個人向け不動産担保で即日融資は可能ですか?
即日融資は基本的に不可能です。不動産担保ローンでは、担保となる不動産の評価額を査定する必要があるため、どうしても時間がかかります。
- 担保評価額の算出(数日~1週間程度)
- 仮審査・本審査(合計で1~2週間)
- 契約締結後の融資実行(審査通過後1~2日)
審査結果が出るため、最低でも1~2週間程度は必要です。そのため、「すぐに資金が必要」という人には向いていません。
担保価値1,000万円だと不動産担保ローンでいくら借りられますか?
担保価値1,000万円の不動産を持っていたとしても、実際の融資可能額は、金融機関の審査基準や利用者の与信結果によって異なります。
銀行の場合は、担保評価額の60~80%が融資額の目安となるため、信用調査で問題がなければ600~800万円程度の融資は可能でしょう。ノンバンクの場合は、金利が高い分、担保評価額の80~100%まで借りられる可能性があり、700~1,000万円程度の融資が受けられるケースもあります。
まとめ
不動産担保ローンは、大きな資金を低金利で借りられる便利な融資方法ですが、その一方で審査基準やリスクをしっかり理解する必要があります。また、銀行とノンバンクとでは不動産の評価基準が違うため、銀行で断られたとしてもノンバンクなら融資が下りるかもしれません。
不動産担保ローンを利用する際は、金利や契約内容を十分に確認し、違法業者にも注意しながら慎重に申込先を選ぶことが大切です。