一般的に銀行融資の審査基準は厳しく、法人が銀行でプロパー融資を受けることはかなりハードルが高いと言われています。
銀行融資を受けるための条件や審査基準などを解説するので、自社で融資を検討している方はぜひ参考にしてください。
法人が受けられる融資の中には、ノンバンクのビジネスローンなど審査が甘いものもあるので、自社の財務状況に合わせて柔軟に選択をしてみましょう。
法人の融資の審査基準は甘い?銀行融資の審査基準を解説
結論から言うと法人融資と個人融資では、どちらが甘いとは言い切れません。
ただ、法人融資を受けるには事業計画の提出が必要なので、個人融資と比較すると法人融資の方が融資までに時間を要すると言えるでしょう。
しかし事業計画を提示する分、法人融資の方が大きな金額の融資が受けやすいという特徴があります。
では銀行の法人融資はどんな審査基準があるのかをチェックしていきましょう。
審査基準は主に以下の3つです。
- 会社や事業の財務状況が健全か
- 融資希望額や事業資金の使徒は何か
- 返済の見通しや返済のための原資はあるか
会社や事業の財務状況が健全か
財務状況のチェックは法人融資審査のなかでも、最も重要視される部分であると言えます。
決算書などのチェックを行ったとき、もし決算内容に問題があれば、財務状況以外の部分が優良だとしても審査に通るのは難しいでしょう。
損益決算書では、以下の項目が重点的にチェックされます。
- 売上総利益:経費が差し引かれる前の利益なので、マイナスであれば審査通過は難しい
- 営業利益:プラスであれば健全な経営と判断される
- 経常利益:プラスであれば評価が高くなる傾向にある
預金は当座預金があれば信用度が上がります。
また、支払いの遅れがないかなど、経営に不信な点がないかチェックされます。
純資産がマイナスの場合、融資の審査を通過するには、より綿密な事業計画書の提出が必要となるでしょう。
融資希望額や事業資金の使途は何か
希望の融資金額が妥当であるかどうかも、銀行融資の審査のなかで重要なポイントです。
銀行融資はいわゆる消費者金融などのノンバンクと比較して、金利が安い傾向にあります。
そのため、融資した金額はきちんと事業に使われるのか、本当に事業に見合った金額なのかを審査します。
また金額の妥当性だけでなく、融資の目的も重要な判断材料です。
たとえば以下のような目的は事業を進めていく上で前向きな借入と判断されるので、審査のプラスになります。
- 正常運転資金
- 設備資金
- 賞与資金
- 納税資金
- つなぎ資金
返済の見通しや返済するための原資はあるか
銀行側からすると融資に値する事業者かはもちろんのこと、返済能力も重要視します。
事業内容が明確で融資金額が妥当だったとしても、返済能力がないと判断された段階で融資は見送られます。
そのため、事業計画とともにどのようにして返済財源を確保していくのかを明確に説明する必要があるでしょう。
ここで役立つのが、収支などを記載した資金繰り表です。
今期の資金繰り表だけでなく、前期やさらに前の資金繰り表もあると信頼度が高まるでしょう。
銀行融資の審査に通らない法人の特徴
銀行融資の審査に通らない法人には、主に5つの特徴があります。
審査に通らず悩んでいる方は、以下のポイントを改めてチェックしてみましょう。
- 財務状況が不健全
- 融資希望額の動機や目的が曖昧
- 税金や社会保障などの滞納がある
- 他行から借入をしている
- 担保や保証人が用意できない
財務状況が不健全
決算書の内容が不健全だと審査に通る可能性が低くなります。
銀行の融資を通すためには有利になる書類がいくつかあります。
以下の書類を提出していないと、審査の際にマイナスと判断される場合もあるので、事前準備はしっかり行いましょう。
- 損益計算書:会社の利益が明確に分かる
- 貸借貸借表:会社の資産が分かる
- キャッシュフロー計算書:お金の動きが明確に分かる
融資希望額の動機や目的が曖昧
法人が銀行融資を受けるには事業計画書の提出が必要不可欠ですが、この事業計画書の内容が不透明だと、審査に通るのは難しいでしょう。
事業計画書は希望融資額の理由付けをする役割を果たします。
なぜこの金額が必要なのか、何にこの金額を使うのかを明確にしないと審査に通過する可能性は低くなります。
また創業計画書がないと事業の目的が曖昧になってしまうので、気をつけてください。
さらに事業計画書とあわせて資金繰り表も用意すると、審査のプラスになるでしょう。
税金や社会保障などの滞納がある
これは法人に限らず借入を考えているすべての人に言えることですが、税金や社会保障などの支払いを滞納していると信用度がマイナスになります。
また、支払いができない=資金力がないと判断されてしまう可能性が高いでしょう。
そのため、融資を申し込む際は各種支払いに滞納がないかを事前にチェックしておく必要があります。
またクレジットカードの支払いも同様です。
とくにクレジットカードの支払いを滞納すると信用情報に傷がつくので、銀行の融資だけでなく他の融資も受けられなくなる場合があります。
他行から借入をしている
他行からの借り入れ、銀行以外のノンバンクからの借入も審査に通らない原因の一つです。
とくにノンバンクからの借入は、銀行の融資審査にとってマイナスになる可能性があリマす。
というのも、ノンバンクから借入がある=銀行から融資を受けられなかったと判断されてしまう可能性があるからです。
また他行やノンバンクからの借入額が大きいと、そもそも融資を受けるのは難しいでしょう。
そのため、銀行からの融資を申し込む際は他の借入を返済してからにするのがベストです。
担保や保証人が用意できない
担保や保証人が用意できないと融資審査を通過できないことがあります。
審査の際は返済能力もチェックされますが、資金繰り表などを提出しても返済が難しいと判断されることもあるでしょう。
このとき、担保や保証人を用意できるか否かで審査は変わってきます。
保証人などの人的担保のほか、不動産や有価証券(物的担保)なども担保に該当します。
- 保証人:返済が滞っても第三者が保証してくれる
- 物的担保:返済が滞っても価値のあるものを現金の代わりに返却できる
このように担保があると返済能力に関してプラスと判断されるため、審査を通過できる可能性が高まるでしょう。
銀行融資の審査の流れは?
銀行融資の審査は以下の流れで進みます。
- 銀行を選ぶ
- 申込
- 書類の提出
- 銀行審査
- 融資の実行
銀行を選ぶ
まずは融資を受ける銀行を決定します。
その際は以下の項目に注目して選択しましょう。
- 金利はどうか
- 銀行の規模はどうか
- 事業に必要な融資が受けられるか
以上の条件で銀行を絞ったら、具体的な金利や融資可能額について一度銀行に相談するのがおすすめです。
実際に話を聞いてから、銀行を決定しましょう。
申し込み
融資を受けたい銀行が決まったら申し込みに移ります。
申し込み方法は主に以下の3つから選択できます。
- 銀行で申し込む
- 訪問してきた銀行の融資担当者に依頼する
- 認定支援機関に相談する
認定支援機関は経済産業省から認可を受けている税理士や公認会計士のことです。
融資について相談に乗ってもらえるだけでなく、資金繰り表や事業計画書作成のアドバイスももらえるので、融資申し込みをよりスムーズに行いたい場合は相談してみましょう。
書類の提出
銀行に提出する主な書類は以下のとおりです。
- 決算書類
- 試算表
- 資金繰り表
- 見積書(設備資金の場合)
- 事業計画書
より明確で分かりやすい書類があると、審査にプラスになります。
銀行審査
銀行審査では提出した書類が銀行内でチェックされます。
さまざまな方向からの視点で見るため、銀行内の部署や担当者のなかで回され審査されます。
もし書類不足や不備があった場合は、銀行から連絡が入り、再度提出するという流れです。
最後に支店長の決裁が行われれば、融資が決定します。
融資の実行
査期間が終わり融資が決定すると、担当者から連絡が来ます。
そして契約書を交わしたら、口座に融資額が入金されます。
銀行融資の審査期間は?
金融機関の融資には「プロパー融資」と「保証付き融資」の2種類があります。
この2種類によって審査機関は異なります。
ではこの2種類の特徴とそれぞれの期間をチェックしていきましょう。
概要 | 審査期間 | |
---|---|---|
プロパー融資 | 金融機関が保証なしで行う直接融資。 銀行からすると、会社が倒産した際に融資した金額を返済してもらえないリスクがあるため、 立ち上げたばかりの会社がプロパー融資を受けるのは難しい。 | 2~3週間 |
保証付融資 | 融資を受けた会社が倒産しても、保証会社が返済してくれる。 保証会社のなかでも信用保証協会は信頼度が高いといわれている。 | 1ヶ月~1か月半 |
保証付融資の方が審査期間が長いと考えていいでしょう。
しかし、銀行からしてみると保証付融資は返済が望めなくなるリスクがないため、審査は緩くなるといわれています。
銀行融資の審査は個人事業主でも通る?
結論から言うと個人事業主でも銀行融資は受けられます。
ただ銀行の規模によっては、法人のみに限定される場合があると覚えておきましょう。
とくにメガバンクは法人向けの融資が中心です。
しかしネット銀行や都市銀行、信用金庫などは個人事業主でも融資を受けられる可能性が高いです。
ただし個人事業主が銀行で融資を受けるには、主に以下の条件に当てはまっていないと難しいでしょう。
- 開業届を出している
- 確定申告をしている
- 基本的に黒字である
また本人確認書類などの他に過去1~3期分の確定申告書と青色申告決算書など、各種書類が必要です。
個人事業主でもきちんとした計画と書類を準備すれば、融資を受けられる可能性は十分にあるでしょう。
審査基準をよく理解し、事前に準備をしておこう
法人融資は個人融資と比較して、念入りな事前準備が必要です。
融資金額の使途や返済能力が認められなければ融資を受けるのは難しいため、必要な書類をチェックし作成しておきましょう。
必要書類が分からない、作成方法が分からないという方は認定支援機関に相談するのもおすすめです。
万全な状態で申し込みを行い、スムーズに融資を受けましょう。